スコットランドの「アイラ地区」では、ピート(泥炭)を焚いた煙の「煙たさ」が際立つウイスキーが多いことで有名です。
この煙たさが強いウイスキーのことを「スモーキー」または「ピーティー」と呼びます。
アイラモルトの中でも、1番スモーキーなのが今回紹介する「アードベック」です。
スモーキーを敬遠しがちになると思いますが、アードベックTENはその思いを覆してくれました。
「これからウイスキーに詳しくなりたい!」と思っている方に、飲んでもらいたいウイスキーの1つです。
目次
アードベック 特徴
種類:シングルモルトウイスキー(スコッチ・アイラモルト)
容量:700㎖
度数:46度
小売希望価格:6.000円 ※店舗では大体4.000円前後で販売されています。
テイスティングノート
色 | 淡いゴールド色 |
香り | 爽やかで海を思わせるヨード香、燻製魚、炭焼コーヒー、柑橘系の香り。チョコレート、シナモンスパイス、薬品のようなフェノールの香り。 |
味わい | 少しぴりっとした刺激があり、重厚感が現れ甘美な味わい。タバコの煙とエスプレッソコーヒーのフレーバーとともに、深みのあるピート香が広がる。 |
フィニッシュ | 余韻は長く豊かでスモーキー。砕いたピートや麦芽の甘み。 |
アードベック蒸溜所
アイラ島の小さな入り江の海岸べりに建つ蒸溜所。
アードベックとはゲール語で「小さい岬」を意味します。
水源は蒸溜所の北の山の上の湖。
湖の名前を「ロッホ・ウーガダール」。暗黒の不思議な秘密の湖という意味です。
創業は1815年。1981年から89年までの8年間は完全に閉鎖していました。
1997年に「グレンモーレンジィ社」が買収して以降は、コンスタントな生産が続いています。
アードベック蒸溜所のスローガンは、「リリース・ザ・ピート Release the peat(ピートを解放する)」
大麦をモルティング(製麦)するときのピーティングディグリー(麦芽に焚き込むピートの煙の度合い)がどの蒸溜所よりも高い。
フェノール値(スモーキーさの度合い)50ppm以上で焚き込みを一般的に行っているのはアードベックのみです。
強烈なスモーキーさの秘密
再溜釜のネック部分に、「ピューリファイア(精溜器)」と呼ばれる筒のような装置がぶら下がっています。
釜の中で熱せられた蒸気は上昇し、ネックを通り、ラインアームを流れてコンデンサー(気化したアルコールを液体にする冷却装置)に向かいます。
その途中にピューリファイアが取り付けられることによって、一部はこの筒の中に取り込まれ内部で液化します。
軽いにおいをたくさん回収し、重い匂いも回収します。
「ピューリファイア」が万華鏡のように、いろいろな成分を分離しながら取り出す役割を果たし、香りの幅と多彩さをもたらしてくれます。
アードベック独特の複雑な香味を増し、スモーキーな香りの底に、透明でフルーティーな香りも生み出されるとのこと。
アイラ島で「ピューリファイア」が付けられているのは「アードベック蒸溜所」だけです。
アードベックはニューポット(新酒)ができると、約95%はバーボン樽、その50%は新樽。
残りの50%はリフィール樽(再々使用の樽)を使用。新樽の割合が高いです。
鼻に突き抜けるピート香とヨード香は強烈だが、ピューリファイアや新樽が多いことなどが、
アードベックの爽やかで柑橘っぽさを生み出しているのでしょうか。
アードベックTEN 飲んでみた感想と評価
ストレート
私が最初に飲んだアイラモルトは、強烈な薬草香と辛みにたじろぎました。
しかし、アードベックTENの香りは意外に爽やか。
「あれ?」
煙たさを感じますが、同時に爽やかさも感じます。
これまで、スモーキーに対して不快感しか感じなかったのですが、鼻に抜ける強烈なピート感が心地よくのど越しは爽やか。
フィニッシュに微かな柑橘感を感じる。
正露丸の風味にしか感じなかった、スモーキーさとピーティーさの悪いイメージを、
「アードベックTEN」が180度変えてくれました。
ストレートで飲むことをおすすめしたいです。
オンザロック
アードベックはもともと薄い黄金色ですが、ロックにするとさらに薄い色になる。
だが、刺激的なアルコールの風味は健在。
冷たいピートが口を覆い、うすいチョコレートの風味が広がる。
喉を通る液体は熱く、ドライな冷ややかさがフィニッシュの爽やかさに加わる。
悪くはない。
飲みやすいが、ストレートの方がアードベックの風味を存分に味わえるような気がする。
ハイボール
香りはスモーク香 きつすぎずちょうどよい煙たさ。
口に含むと広がる燻製感。爽やかなピートが全体に広がる。
フィニッシュは爽やか。ほどよく柑橘。
スモーキーでピーティーと言うと、くどい印象があるけど真逆なんですよね。
アードベックのハイボールは、ピート感を感じながら爽やかに飲める。
スモーキーでピーティーを味わったことがない人にもおすすめしたいハイボールです。
アードベックTEN みんなのレビュー・評価を集めてみました!
ガツんとピート!
ラフロイグとアードベックと生ほたてと乾燥ほたて
もうやり残したことはない、2021年完全燃焼😁#TWLC pic.twitter.com/AwMxtyAu70— 高寛 (@takakan57) December 30, 2021
アードベック旨いなぁ🥃✨
セブンの🐙も旨い👌✨ pic.twitter.com/eOHGjx9Icg— えちょ (@echo_GSX_S1000) December 20, 2021
アードベックTEN
ほんま美味しい^ ^
今のところ一番好きなウイスキーかも pic.twitter.com/aS4kzjRsCR— スガオツ【蒸留酒】ウイスキー 米焼酎@熊本 (@sugaotsu) November 17, 2021
なんとなく今日はこちらのスコッチ3人衆を開栓しましたー
アードベックのスモーキー具合が堪らん!!! pic.twitter.com/o8zul0l6BR— ウイスキーハマり中 (@whi_whi_daisky_) January 19, 2022
ご馳走様でした♪
色々ウイスキー試した感想はアードベック10年が1番素材の味も楽しめたかなと思います^_^
フォアグラシロモツ刺しは低温調理してあるので安心して食べれますよ^_^@namaniku2016 で今後買える様なので気になってる方は専用Twitterをチェック! pic.twitter.com/l4hH01Zp0j— ガラポン (@gggGarapon) January 2, 2022
万人受けするわけではないが、ハマる人はとことんハマり、結果的に多くのファンがいるのがRadioheadであり、アードベックだと思う。アードベックの熱烈な信者がアードベギャンと呼ばれてるって少し面白い。 pic.twitter.com/kWGJWwj2vt
— old-blanket (@BlanketOld) December 16, 2021
強烈な個性のアードベックをハイボールで。刺激的な一杯。#BAR #TWLC #ウイスキー #アードベック pic.twitter.com/vggSVXKN9X
— MARU (@tounoeijirou1) December 1, 2021
アイラモルトの特徴
アイラ島はウイスキーの聖地と呼ばれます。
スモーキーでピーティッド。独特のヨードの香り、海の香を楽しめます。
また、優れたブレンデッド・ウイスキーでも、アイラ島のモルトがブレンドされてこそ腰が据わると言われます。
これが、アイラモルトこそウイスキーの原型とも言われる所以なのかもしれません。
スモーキーの意味を知る
ピートレベル
ピート(泥炭)で燻す過程で、大麦は燃えたピートから生じる煙を吸収します。
この煙に多様なフェノール性成分が含まれており、スモーキーでピーティーな特性をもたらします。
ピートレベルの調整は燻す時間が長ければ長いほどレベルも上がる。
スモーキーさや薬っぽい風味を生じさせているのが、フェノール(芳香・臭気)性成分です。
「ppm」(parts per million)とは
スモーキーさの単位は「ppm」(parts per million)で表されます。
※1ppmなら1リットルに1ミリグラムのピート成分が含まれている。
(例)
約10ppmなら、やわらかなピート香が感じられる
約25ppmなら、ミディアムレベルとされる。
約40~50ppm以上でヘビーピートとされ、明確な主張を持った強いスモーク香が感じられます。

自分の大好きなウイスキーがどの程度のピートレベルなのか確認するのも面白いですよ。
■参考文献
スコットランド酔夢紀行 シングルモルトへの旅
著者:佐々木幹郎 様