穀物由来のライトでマイルドな風味。
ウイスキーの中で最も軽い酒質と言われるカナディアンウイスキー。
カクテルの材料として使用されることが多いそうです。
一番身近なカナディアンウイスキーは、販売店のお酒コーナーで必ず目にする「カナディアンクラブ」です。
値段もお手頃で、非常に飲みやすくほんのり甘い、ハイボールにピッタリです。
ウイスキー初心者の方は、カナディアンクラブから飲み始めるのもいいかと思います。
今回は、世界5大ウイスキーの1つ、カナディアンウイスキーの歴史と特徴を深堀、カナディアンクラブの紹介をさせていただきます。
目次
カナディアン・クラブ 特徴
種類:ブレンデッドウイスキー(カナディアンウイスキー)
度数:40度
容量:700㎖
テイスティングノート
香り | キャラメル・バニラ・スパイス。 |
香味 | スムースでしなやか、メローでほのかにオークとバニラ。 |
フィニッシュ | クリーンでドライでありながら、やわらかいオークの感覚。 |
カナディアンウイスキーは、「ベースウイスキー」「フレーバリングウイスキー」と呼ばれる2タイプのウイスキーをブレンドして造られています。
カナディアンクラブはフレーバリングウイスキーの造り分けに大きな特徴があります。
ひとつは、ライムギ、トウモロコシ、ライムギ麦芽、大麦麦芽を原料に連続式蒸溜器で蒸溜後、さらに単式蒸溜器で蒸溜するスタースペシャル。
複雑さのある濃厚な香味を抱いています。
もう一つは、ライムギ、ライムギ麦芽、大麦麦芽を原料に1塔式連続蒸留器で蒸溜するスター。
リッチで果実のような香味が特徴的。
2つのフレーバーリングウイスキーと、トウモロコシを原料に連続式蒸溜機で蒸溜したベースウイスキーを、ニュースピリッツ(樽熟成前の出来立てウイスキー)の段階からブレンドします。(比率は7:3くらい)
この手法をプレブレンディングと呼びます。
これらの工程を経て、大自然をそよぐ涼風を想わせるすっきりとした味わいとほのかな甘い香りの「C.C.」は誕生します。
カナディアンクラブ 飲んでみた感想と評価
ハイボール
香り:バーボンほどの甘みは感じないが、ほんのり甘く癖がない爽やかさを感じる。アルコール感は強め。
風味:ライトでのど越し爽やか、クセを感じずゴクゴク飲める。穀物由来の甘みも特徴で非常に飲みやすい。
ウイスキーが苦手な方でも、カナディアンクラブのハイボールは飲めるのではないでしょうか。
カナディアンクラブ12年について
香り:パン・キャラメル・どっしりとした穀物の香り。アルコール感は弱め。
風味:第一印象はライ麦パンのどっしり感。甘みよりも苦みが勝つ。
非常にオイリーでフィニッシュも苦みが強く、ドロっとしていて好きになれない。
モルトの繊細さやライトなウイスキーが好きな方には、あまりおすすめ出来ないと感じました。
シングルモルトの長期熟成は甘みが増す印象を持っているが、カナディアンクラブの場合は苦みが増す。
興味のある方は飲んでみていただきたいし、感想を教えていただければ非常にありがたいです。
カナディアン・クラブの歴史
1858年 スコットランド移民の子孫であるハイラム・ウォーカーが、カナダ・オンタリオ州ウィンザーの豊かな水脈、自然に恵まれ穀倉地帯にも近い、ウイスキー造りに最適な環境の中で誕生させました。
ライウイスキーやバーボン、スコッチ、アイリッシュにもない新しいテイストは、紳士の社交場「ジェントルメンズクラブ」で品格のあるテイストとして人気を獲得。
そこから「クラブ・ウイスキー」と命名。カナディアンウイスキー初のブランド名を冠した製品となります。
事業の成長とともに、ウォーカーは警察署、消防署、協会、学校などを整えた企業城下町をウィンザーに築きます。
教養あるビジネスマンの酒として「クラブ・ウイスキー」任期は高まり、開発の進んだアメリカ西部まで浸透します。
これに脅威を感じたアメリカ蒸溜業界はアメリカ産とカナダ産のウイスキーを明確に区別するよう政府に求めました。
1890年に「クラブ・ウイスキー」から「カナディアン・クラブ」へと名称が変更。
1899年、ハイラム・ウォーカーがこの世を去りますが、彼の逝後もカナディアンクラブの人気は高まり続けます。
1909年には日本に初輸出。
1920年アメリカは禁酒法を施行。アメリカは禁酒法時代もデトロイト川の川底にトンネルを通し、大量のウイスキーを密輸したそうです。
皮肉にも、禁酒法下で評価を高めたのはカナディアンクラブ。
1933年の禁酒法撤廃後、不足する酒市場に貢献したのもカナディアンクラブを中心としたカナディアンウイスキーでした。
ウィンザーで創業したハイラム・ウォーカーの先見の明は、世界のウイスキー史の中でも特筆すべきものと言えます。
誕生から21世紀の今日まで160年以上、現在では世界150か国以上の人々に愛されつづけています。
カナディアンウイスキーの定義
・穀物を原料に酵母によって発行を行い、カナダで蒸溜し、小さな樽(700ℓ以下)で、最低3年感貯蔵したもの。
・瓶詰度数は40%以上で、カラメルまたは「フレーバーリング」を含むことは可能。※フレーバーリングとは、香味を添加することを許されているカナディアン以外のスピリッツ、ワイン等を指す)
カナディアンウイスキーの種類
フレーバリングウイスキー(flavouring whisky)とベースウイスキー(base whisky)の2タイプの原酒を製造しています。
フレーバリングウイスキー
ライ麦、トウモロコシ、ライ麦芽、大麦麦芽などを原料に1塔式連続蒸留器とダブラーを使いアルコール分64~75%で蒸溜したもの。
ライムギ由来のスパイシーでオイリーな風味がある。
スコッチで言うところのモルト原酒と考える。
ベースウイスキー
トウモロコシなどを主原料に、連続式蒸留器を使ってアルコール度数95%以下で蒸溜したウイスキー。
スコッチで言うところのグレーン原酒と考える。
カナディアン・ブレンデッドウイスキー
フレーバリングウイスキーとベースウイスキーをブレンドしたもの。
比率は一般的に10~30対70~90%。また、ブレンドの際に9.09%までは「カナダ産以外のもの」を加えてもよい。
通常はバーボンだが、フルーツブランデーやワインを添加する場合もあります。
カナディアンウイスキーの歴史
カナダでは17世紀後半にビール醸造所に蒸溜の装置が併設されていました。
これを使用し穀物原料の蒸溜酒が造られたのが、カナディアンウイスキーの始まりだそうです。
1776年アメリカが独立宣言をすると、独立を嫌ったイギリス系住民がカナダに移住。
ライムギや小麦などの栽培を始め、製粉業が発達。余剰穀物からウイスキーを生産する人が増えました。
ケベック・モントリオールでは、蒸溜を専門とする業者も現れました。
アメリカの禁酒法時代に、カナダは輸出を禁止しなかったため、「アメリカのウイスキー庫」として莫大な富を築きます。
禁酒法撤廃後もアメリカ市場に広く浸透し、カナディアンの全盛期が続きます。
世界最大規模を誇ったシーグラム社もカナダ本拠の企業体であり、1936年にバランタインを買収したハイラム・ウォーカー社もカナダを本拠としていました。
現在は、独立系の小規模生産者やクラフト蒸溜所も急激に増えているようです。
最後に
ウイスキーの苦みやアルコールの強さを警戒されて、まだウイスキーに踏み出せない方々がおられましたら、是非カナディアンクラブのハイボールを飲んでいただきたいです。
ウイスキーに持っている嫌な印象が、一転して好印象に変わるかもしれませんよ。
穀物由来のほんのり甘い、後味爽やかでハイボールにピッタリのカナディアンクラブ。
ウイスキーの入り口としては最高のウイスキーだと思います。