日本一小さく、日本一新しい蒸溜所で作られている、
知る人ぞ知るジャパニーズウイスキーの名酒「イチローズモルト」を紹介します。
近所の酒屋であまりお目にかかることができないのですが、私の行きつけの世界の酒屋「新安」で購入しました。
みなさん「ミズナラ」の木をご存じでしょうか?
シーバスリーガルでミズナラフィニッシュが販売されていますよね。
同じミズナラ樽を使用したウイスキーですが、シーバスリーガルとイチローズモルトでは、香りや風味は別物です。
個人的な感想ですが、イチローズモルトのほうが「ミズナラ」樽の香りや風味を強く感じました。
夏冬の寒暖差が大きい埼玉県の秩父市特有の気候を活かし、小さな蒸溜所ならではのこだわりが詰まったジャパニーズウイスキー。
一度飲んでみる価値はあると思います。
イチローズモルトの特徴
国内外から脚光を浴びる「ベンチャーウイスキー」
埼玉県秩父市 小高い丘の上にある小規模な蒸溜所。
近くに荒川が流れる自然豊かな土地が秩父蒸溜所の所在地です。
夏は高温多湿、冬は氷点下まで冷え込む気候。
これは、本場スコットランドに負けず劣らずウイスキー造りには最適とのこと。
フロアモルティングも一部の仕込みで実践しています。
最も特徴的なのが、世界で唯一という「ミズナラ製の発酵槽」を使用している点です。
日本の北部に自生するミズナラの木を使った樽であり、熟成では白壇や伽羅などの香木を思わせる香りを持ちます。
これらが、イチローズモルトの独特の香と味、余韻などを醸し出しているのです。
■イチローズモルト&グレーン ホワイトラベル を飲んだ感想
香りはおとなしく仄かにお香のにおいがただよう。
アルコール度数が46度あるので、ストレートで飲むと鼻と喉にアルコールの刺激がきます。
その後、「これがミズナラか」というような、白壇等の静かな香りが鼻に抜け、癖のない、それでいてしっかりとした風味が喉に流れ込みます。
時間が経つと、ミズナラの香りと風味が鼻と喉になんじてくるのがわかります。
テイスティンググラスの中は、「日本独自の香り」に支配されとても心地よい。
熟成を重ねたイチローズモルトはどんな感じなんだろう?と個人的に期待が膨らむウイスキーです。
イチローズモルト&グレーン ホワイトラベル以外のイチローズモルトも飲んでみたい!!
イチローズモルトの歴史
肥土(あくと)伊知郎氏の実家は、江戸時代初期の寛永2年(1625年)から続く日本酒の酒造。
昭和55年頃(1850年)に肥土氏の父が羽生市に羽生蒸溜所を作り、本格的なスコットランド方式のウイスキーの製造を始める。
肥土氏も手伝うために大手飲料メーカーのサントリーを退職したが、経営が立ち行かなくなり、400樽のウイスキーの原酒が残され、廃棄される運命にありました。
しかし、肥土氏は羽生蒸溜所の原酒を「個性的で面白い味」と感じていたとのこと。
期日までに引取先が見つからなければ廃棄されることをさけるべく、貯蔵庫を貸してくれる会社を探し回り、運よく福島県にある「笹の川酒造」の社長さんが、「貴重な原酒を捨てるのは業界の損失だ」と手を挙げてくれました。
肥土氏は、なんとか大切な原酒を守ることができたのです。
廃棄の危機にあったウイスキーの窮地を救ったのが肥土氏だったことから、その名をとってイチローズモルトと命名。
2004年に「ベンチャーウイスキー」を設立。
翌年、ファーストボトル「イチローズモルトヴィンテージシングルモルト1988」が完成。
一日に3~5件、2年間で延べ2000軒のBARを巡り、バーテンダーを中心に味の評価を受け、ファンが広がっていきました。
2006年にカードシリーズ「キング オブ ダイヤモンズ」が専門誌「ウイスキーマガジン」で金賞を受賞。
2008年からは秩父の地に蒸溜所を稼働させます。
2017年から4年連続でワールド・ウイスキー・アワードのシングルカスクシングルモルトウイスキー部門、ブレンデッドウイスキー・リミテッドリリース部門で世界最高賞を受賞。
近年では自社の製樽工場で樽づくりを始め、地元の大麦を使った製麦に力を入れるなど、追求はまだまだ続いています。
イチローズモルトの概要
イチローズモルト&グレーン ホワイトラベル
度数:46度
容量:700㎖
創業者:肥土伊知郎
2019年インターナショナルスピリッツチャレンジ(ISC)で、マスターブレンダーを受賞
最後に
いかがでしたでしょうか?
今回はイチローズモルト&グレーン ホワイトラベルを紹介しました。
秩父蒸溜所のこだわりが詰まったウイスキー。
本当においしいです。
ストレートで飲んで美味しいと感じることができるウイスキーの1つです。
それも、肥土氏、秩父蒸溜所で働く方々の絶え間ないウイスキーへの追求と努力、秩父市の気候がもたらす環境がだからこそだと思います。
まだ飲んだことがない方はぜひ一度、イチローズモルト&グレーン ホワイトラベルを飲んでみることをおすすめいたします。
ではまた、次回の記事でお会いしましょう。
Yoshi Blog Yoshi でした。
■参考文献
ゼロから始めるウイスキー入門 著者:土屋 守様
サンエイムック 男の隠れ家 別冊 ウイスキーのすすめ 発行:株式会社三栄様
ウイスキーぴあ 発行:ぴあ株式会社様