ジャパニーズウイスキーといえば、サントリー(山崎、白州、響、角瓶)や、ニッカウヰスキー(余市、宮城峡、竹鶴、ブラックニッカ)を思い浮かべるのではないでしょうか?
陸は一番搾りなどのビールで有名なキリンホールディングスが、静岡県の富士御殿場蒸溜所で製造しています。
(富士御殿場蒸溜所については、後日、富士山麓の記事にて詳細を紹介します。)
キャッチコピーは、ウイスキーの新大陸へようこそ。
今回は、陸を飲んでみた感想と、他のウイスキーとの飲み比べをして感じたことを中心に紹介していきます。
目次
キリンウイスキー 陸 とは?
世界の大陸から良質なグレーン原酒を調達しブレンドされたワールドブレンデッドウイスキー。
グレーンウイスキーを味覚の軸に置いた設計
アルコール度数は高めで50%あります。富士山麓も50%ありますよね。
高いアルコール度数にすることで、香味成分が詰まったおいしいウイスキーになります。
(加水の量が少ないので香味成分の濃度が高くなるため)
スコットランド・カナダ・アメリカという3タイプのグレーンウイスキーの原酒と、少々のモルト原酒をブレンド。
ノンチルフィルタード製法(冷却ろ過をしないので、樽熟成の香味を最大限に楽しめる)を採用。
国産ウイスキー原酒の制約がある中、ウイスキーの新提案ができず、ウイスキーへの期待値が低くなるという背景から生まれた新時代のウイスキー。
キリンのホームページでは、さまざまな飲み方が紹介されています。興味のある方は下記のリンクをご参考ください。
キリンウイスキー 陸 を飲んだ感想と評価
ストレート
香りは甘すぎずほどよい果実の香り。鼻を近づけすぎるとアルコールが刺さる。
グレーンウイスキーの強い甘さや、バーボンのような力強さはなく、いい意味で特徴がない。
飲んでみるとアルコール度数が50%と高い割には、それほど喉に刺さらない。
控えめな甘みと強めのアルコールがうまくマッチしているので、ボディーの薄さが目立たない。
力強さはないがストレートで飲めなくはない。ボディーの薄さをアルコールの強さで補っているように感じた。
ハイボール
グレーンウイスキーの甘みと爽やかさを感じるが、強い甘みではなく、ブレンデッドウイスキーに比べモルトの風味も薄く、表現が難しい。
のど越しは爽やかで後味に爽快感もある。ハイボールとの相性はとてもいいと感じる。
陸は完全なグレーンウイスキーではない。若干のモルトが入っているので、グレーンウイスキーに近いブレンデッドウイスキーである。
そのため、グレーンの甘さが勝っているが、モルトの風味も若干感じる。
グレーンウイスキーでもなく、ブレンデッドウイスキーとも言いづらく、飲みやすくておいしいんだけど、不思議な味ですね。
グレーンウイスキー知多とキリンウイスキー陸を飲み比べしてみた。
知多はサントリーで造られているグレーンウイスキー。ストレートで飲むとグレーンのさわやかな甘みがしっかりと感じられる。
陸と飲み比べると、グレーンの甘みがより引き立つ。
逆に陸はグレーンの甘みだけでなく、知多と飲み比べることで、若干のモルトが入っているブレンデッドウイスキーだなと感じました。
甘みや香りは知多に比べ弱く若い印象を受ける。
筆者はモルトの風味が好きなので、グレーンウイスキーのボディーの薄さに対してあまりいいイメージを持っていなかった。
しかし、陸と知多を飲み比べ、知多の美味しさを思い知らされた。
若干のモルトが入っているが、ほぼグレーンウイスキーの陸に比べると、知多は上質な甘さを強く感じる。
陸という存在があったからこそ、グレーンウイスキー知多の美味しさがわかったのだろう。
今まで自分が知多に抱いていたマイナスイメージ(モルトウイスキーと飲み比べた時の物足りなさ等)が消え失せた。
フォアローゼス(バーボン)とキリンウイスキー陸を飲み比べしてみた。
フォアローゼスはバーボンの力強い甘みや香りに加え、繊細さをプラスした飲みやすいバーボン。
陸と比べると、フォアローゼスの新樽のバニラ香や風味の力強さが際立ち、バーボンの特徴を再確認できる。
陸はフォアローゼスよりも、甘みや香りは弱い。
でも、ハイボールにした時の飲み心地で言えば、陸の方がすっきりとした飲み心地で爽快感は高い。
いい意味で言えば、陸にはこれといった特徴がないのだ。
キリンウイスキー 陸 の総評
キリンのホームページに、おいしさの詰まったウイスキーを、自由なスタイルでというキャッチコピーがあり、色々な飲み方が紹介されている。
ストレートで飲めなくはないが、私はあまりおすすめしない。
ハイボールは飲みやすく癖がないので、ストレートよりもハイボールをおすすめしたい。
食中酒や常飲するにも最適だと思う。お値段はお手頃だが、容量が500㎖と少ないのが欠点。
陸であればストレートやハイボール以外の飲み方・スタイルを実現できるのかもしれない。
筆者は陸を冷凍庫でキンキンに冷やして造るハイボールがおすすめだ。
ウイスキーが苦手な人にこそ、陸はおすすめなのかもしれない。
ウイスキーの概念を超越し、新しいウイスキーの形を生み出してくれる、そんな新時代のウイスキーなのだろう。