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ウイスキーの樽熟成 樽がウイスキーに与える影響を探る

ウイスキーの樽熟成のキッカケは、莫大な酒税から逃れるために樽にお酒を隠した事だった。

 

「カスク」とは「樽」の意味。

 

ウイスキーのラベルにも、カスクフィニッシュや〇〇カスクなどと表示されています。

 

知っているようであまり知らない、ウイスキーの樽熟成の効果。

 

なぜ熟成が必要なのか考察しましょう。

 

ウイスキーの樽熟成

樽に詰める前の原酒を「ニューポット」と呼び、

 

これに水を加えアルコール度数を調整し、樽に詰めて寝かせることを熟成と呼びます。

 

初期段階では、低沸点成分である硫黄化合物などが揮発し、2段階では酸化・還元反応で香味成分が生成され、3段階ではアルコールと水の分子が結合し、円熟味やうまみを増加させることがわかっています。

 

何年もの年月を経て、ニューポットは樽の中で呼吸を繰り返し、樽材成分が原酒へ溶け込み、まろやかでうまみのあるウイスキーへと変貌を遂げます。

 

樽の呼吸

外気の温度が上がると樽とウイスキーが膨張し、樽内の気圧が外界に比べ高くなり、ウイスキーのエタノールや揮発成分が蒸散します。

 

外界の温度が下がると樽とウイスキーが収縮し、樽内に外気の酸素が取り込まれ、酸化熟成やエステル化が進み、まろやかさが生まれます。

 

樽材の種類と特徴

ウイスキーの香味に多大な影響を与える樽には、全てオークが使用されます。

 

その数は全世界で300種類以上存在しています。

 

オークの種類

ホワイトオーク

アメリカンホワイトオークとも呼ばれる北米産のオーク。

 

バーボンやシェリー、ワインなどの熟成に広く使用され、現在のスコッチウイスキーでは約95%がホワイトオークだと言われています。

 

タンニン(渋み・成分由来の香り)は比較的少なめで、バニラやココナッツの香味が特徴です。

 

コモンオーク(スパニッシュオーク)

ヨーロッパ産オークの代表格。

 

伝統的にコニャック、ワイン、ブランデーなどの熟成に利用されます。

 

タンニンが多い為、シェリー等を入れたものをウイスキーの熟成に使用することが多いです。

 

色が比較的濃く、ドライフルーツやチョコレートのような濃厚な香味をもたらします。

 

ここで注意したいのが、シェリー樽=スパニッシュオークではないという点です。

 

シェリーを生成する際は、ほとんどがホワイトオークを使用しています。

 

これは歴史的背景やシェリーの熟成方法が継ぎ足し方式で、長いもので100年以上同じ樽を使用すること、ホワイトオークが頑丈で壊れにくいことが主な理由です。

 

ただ、シェリー樽の需要増で入手が困難になってきていることから、マッカランなど一部の蒸溜所では自前でスパニッシュオーク樽を製造し、シェリーを詰めた後でウイスキーの熟成に使用している手法もあります。

 

ミズナラ

日本固有のオーク。北海道や東北地方で伐採されます。

 

白檀や伽羅に通じるオリエンタルな香りを纏います。

 

樽のサイズ

樽のサイズは小さい物からバレル、ホグスヘッド、パンチョン、バットなどに分類されます。

 

小鉄
樽の木材の種類や履歴以外にもウイスキーの味が影響されるの?

 

樽の容量が小さいほど、ウイスキーが樽に触れる面積が多くなるので、樽に受ける影響が大きくなります。

 

逆にサイズがでかい樽は、樽の影響を受けにくくゆっくり熟成されるのに向くと言われています。

 

樽のサイズ一覧
バレル(180~200ℓ) アメリカでホワイトオークを材料としてバーボン、テネシー、カナディアン用に作られている。
ホグスヘッド(250ℓ) 名前の由来は豚一頭と同じ重さからきている。バーボン樽を解体し胴回りを大きく作り直した樽。
パンチョン(480~500ℓ) 主にサントリーが熟成用に作っている。ホワイトオークが主でスコッチではあまり見かけない。
バット(480~500ℓ) シェリー樽を一般にシェリーバットと呼びシェリーの輸送用として、主にヨーロピアンオークで作られる。

 

樽の履歴

バーボンは新樽での熟成が義務付けられているので、樽の履歴とは無関係ですが、

 

スコッチなどは、ほとんどバーボン樽かシェリー樽で熟成されます。

 

バーボン以外のウイスキーにとって、樽の履歴がもたらす影響は大きく、ウイスキー造りの重要な要素となっています。

 

Yoshi
近年ではウッドフィニッシュと呼ばれる、通常の熟成後に別の樽で短期間の後熟を行うケースも増え、ラム酒、コニャック、ワイン樽など個性豊かな樽が熟成に使用されています。

 

樽の内面処理(チャー・トースト)

樽の熟成中の樽材成分の溶出を促進するため、樽内部の熱処理を行います。

 

熱処理には遠赤外線などを使ってゆっくり加熱するトースト、

 

ガスバーナーの強い火で木材を炭化させるチャーの2種類です。

 

熱処理によって、樽材の表面に甘い香味成分を生成させ、バーボン樽の特徴であるバニラ香をはじめ、さまざまな香味成分が形成されます。

 

また、何度か使用した樽に再度チャーを行い、樽を再度活性化させることをリチャーと呼び、これによって60~70年に渡り熟成に利用されます。

 

マリッジ

モルト原酒とグレーン原酒をブレンドした後、再び樽に詰め熟成を行うことをマリッジと呼びます。

 

主にブレンデッドウイスキーを製造する際の手法です。

 

現在はシングルモルトをブレンドしたした後の後熟もマリッジと呼ばれます。

 

ウイスキー樽 まとめ

ウイスキーの樽熟成は奥が深いです。

 

ウイスキーを購入する際に、これは○〇樽で熟成されて、樽のサイズは〇〇だな。

 

しかも、〇〇で後熟されてる。

 

サントリーは主にパンチョン樽だから、そこまで樽成分の影響は多くないのかな。

 

バーボンは新樽の使用を義務付けられているから、それも飲み味に影響しているのかな等、色々考えてしまいますね。

 

実際に飲み比べなければわからないのが正直な所ですが、ちょっとした知識があるだけで購入する時も楽しくなります。

 

参照資料:ウイスキー検定公式テキスト 執筆・監修:土屋 守

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